認知症になる前に準備してほしいお手続きのご紹介
ご家族のために認知症になる前に備えておきましょう。
【 関 連 業 務 】
相続手続き代行業務
戸籍謄本等お取り寄せ代行業務
法定相続情報証明制度申請代行業務
遺言書作成業務
自筆証書遺言保管制度申請サポート業務
今回は、認知症になる前に、事前に備えていたほうが良いお手続きをご紹介します。
厚生労働省令和3年「簡易生命表」によりますと、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳とのことです。
寿命は年々延びていますが、寿命が延びてもいつまでも健康でいられるかどうかはわかりません。
認知症は2025年に患者数が700万人に上がると予想されています。
認知症を患いますと、相続に大きな影響を及ぼすこととなり、ご家族に大変な手続きが必要となってしまう場合があります。
ご両親が認知症を患う前にできるご準備をご紹介いたしますのでご参考として下さい。
認知症となった場合のリスクについて
正常な意思能力があるかどうか?
民法第3条の2
「法律行為の当事者が意思表示をしたときに意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする。」
という規定があります。
認知症を患ってしまった場合、「意思能力を有していたのか?いなかったのか?」が問題となるのです。
意思能力を有していた場合の効力はその法律行為は有効となり、反対に意思能力を有していなかった場合は無効となり、全く真逆の結果が生じてしまい後に相続人間で紛争が生じてしまうのです。
認知症を患ってしまうと有効な法律行為ができる権利を失ってしまいます。
ですから、法律的に有効な意思表示ができるうちに準備をすることが大切だということがお分かりいただけたかと思います。
事前に準備しておくこと
認知症を患う前にご準備いただきたい手続きをご紹介いたします。
一番大切なことは後に相続人となる1名のみに相談するのではなく、「ご家族全員で情報の共有」することが大切です。
ご家族の1名だけに相談すると、他のご家族とのトラブルが想定できるからです。
手続の中には誤解を招くおそれがあるものがあります。
ご家族が集まるお盆や正月に「財産を残す側」が相談しておくことが一番有益です。
その説明をする際にエンディングノートが最適です。
エンディングノートを作成していれば、その内容に沿った細部の説明ができます。
このご相談を前提として色々なご準備の内容をご紹介いたします。
〇認知症の兆候を把握しておく。
本人や、家族が自治体や医療機関のセルフチェックリスト等を基にして認知症の兆候が出ていないか定期的に確認します。
〇金融機関の代理人カードを作成しておく。
口座名義人と生計を同じくする家族のみ作成できる場合があります。
注意が必要なのが、認知症が進むとカードが使えなくなる場合があります。
〇印鑑や通帳の保管場所を共有しておく。
〇株券等の有価証券の保管場所を共有しておく。
〇不動産の情報を共有しておく。
〇借金の情報も共有しておく。
伝えておきたくない気持ちは分かりますが、負の財産も相続します。残されるご家族に返済義務が発生しますので包み隠さずお伝えしましょう。
〇パソコンやスマートホンのIDやパスワードを共有しておく。
近年、デジタル遺品も多くなっています。ネット銀行やネット証券、ビットコインなど相続財産に含まれるものがありますので情報を共有できるようにしておきましょう。
〇貸金庫に重要書類やメモ書きを預けておく。
生前に家族に全てを話しておくことが嫌な場合は、残される重要な財産などの情報をまとめて貸金庫に保管していれば安心できます。
その際に、「貸金庫の代理人登録」をしていれば、認知症を発症した場合でも代理人が貸金庫を開けることができるので安心できます。
〇生命保険金の受取人をだれにするか検討しておく。
受取人は必ず指定しておくことが重要です。注意が必要なのが、指定した受取人が先に死亡してしまった場合です。もしそのような事が発生した場合は必ず受取人の変更手続きを行いましょう。
〇ペットの行き先を決めておきましょう。
ペットも大切な家族です。しっかりお世話をしてくれる方を選び相談しておきましょう。
〇財産目録書を作成しておく。
残される財産が何があるかご本人が一番把握できるかと思います。残されるご家族に手間がかかる作業とならぬよう作成を強くおすすめします。
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〇相続税対策を講じておきましょう。
財産が多い場合、相続税が課税されるかどうか事前に把握することをお勧めします。
相続税が課税される場合、有効な節税対策を検討しましょう。
節税対策は、事前に対策を行っていなければならないものです。
有効な手続きをすればご家族に多くの財産を引き継ぐことができますので速やかに手続きを進めましょう。
〇任意後見人を選んでおく。
任意後見とは、認知症になる前であれば、任意後見制度を利用して弁護士や司法書士などに生前の財産管理など任せることができる制度です。
但し、費用が発生しますので注意も必要です。
〇家族信託契約を結んでおく。
家族と信託契約を結び、預貯金の残高を移して財産管理をしてもらったり、不動産の管理や売却などを代行してもらいます。
〇遺言書を作成し、保管場所も伝えておく。
遺言書を作成すれば残された家族へどう財産を分けていくか明確になります。
そして、財産を分けた理由なども表示できます。
忘れてはならないのが保管場所もしっかり伝えておきましょう。
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まとめ
以上、認知症を患う前に準備していただきたいことを紹介しました。
今後、認知症患者数は増加していく予想がされています。
他人事ではないことを皆様が自覚していただき、本記事を参考にしてしっかりとした準備を整えて、不安のない人生を楽しんでいただければ幸いです。
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