第1種農地の転用について
【 関 連 業 務 】
農地所有適格法人設立サポート業務
今回は、農地区分が「第1種農地」に該当する農地について記事を掲載しました。
「第1種農地」とは、おおみね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地が該当します。
「一団の農地」とは?
山林・宅地・河川・高速道路等で農業機械が横断することができない土地によって囲まれた集団的に存在する農地をいいます。
注意が必要なのは、農業用道路・用排水路・防風林等によって分断されている又は、農業用施設等が点在している場合でも実際に農業用機械が容易に横断し又は、迂回することができるとして一体に利用することに支障が認められない場合は「一団の農地」として取扱われます。
※自然的条件(土地の傾斜など)からみて効率的な営農ができず、一体として利用するのに支障があると認められれば一団の農地として取り扱われないこととなります。
「一団の農地」の基準
〇道路の基準は、「農業用機械が容易に横断できるか?」「農作業に支障が生じるか?」「交通量はどれくらいか?」等を総合的に判断し、道路の種類によっての判断は行いません。
〇河川の基準は、原則として一級河川・二級河川を分断線とします。
例外として、農業機械が容易に横断できない幅員等で、一体として利用することに支障がある場合は分断線とします。
(注意)農業用用排水路施設は原則として分断線としません。
〇山林・宅地・雑種地等の点在の基準は、これらの農地地目以外が集団的に存在していること等によって一体として利用することに支障があると認められる場合は分断線とします。
(注意)納屋・農業用ハウス等の農業用施設・用地は原則として分断線となりません。
第1種農地に該当する農地については原則として転用は許可されません。
但し、農地の転用行為が次のいずれかに該当するときは転用が許可される可能性がありますのでご確認下さい。
①土地収用法第26条第1項の規定による告示に係る事業の用に供するために行われるもの
②申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要と認められるもの
③申請に係る農地を農業用施設・農畜産物処理加工施設・農畜産物販売施設その他地域の農業の振興に資する施設として次に掲げるものの用に供するために行われるもの
〇農業用施設・農畜産物処理加工施設・農畜産物販売施設
〇都市住民の農業の体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設
〇農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設
〇農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設
〇住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は、業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの
ア「集落」とは5戸以上※地方公共団体によって基準は異なります。
イ「集落に接続して」とは既存集落と間隔を置かないで接する状態をいいます。
申請に係る農地が直近の集落の敷地からおおむね50m以内の距離で接続されるものまた、申請に係る農地は、集落の敷地からおおむね100m以内の区域内にあるものとされます。
ウ「周辺の地域」とは、申請地からおおむね2kmの区域内にあるものとされます。
エ「住宅」とは、農家住宅・分家住宅及び一般住宅等の居住する者が特定されているものに限ります。不特定多数の者が居住する共同住宅や分譲住宅等は含みません。
オ「日常生活上必要な施設」とは、周辺の地域において居住する者が生活を営む上で必要な施設のことをいい、店舗の場合にあっては都市計画法第34条第1項の「日常生活の為の必要な物品の販売・加工等若しくは修理その他の業務を営む店舗」その他これらに類するものとされます。
カ「業務上必要な施設」とは、周辺地域において居住する者が業務上利用する店舗・事務所・工場・駐車場・作業場・資材置場等をいうもので事業の実施者は周辺の地域に住所を定める者若しくは、定める予定の者又は、周辺の地域に主たる事務所を有する法人若しくは、定める予定の法人をいいます。
④申請に係る農地を市街地に設置することが困難又は、不適当なものとして次に掲げる施設の用に供するために行われるもの(令第10条第1項第2号ロ 規則第34条)
ア病院・診療所その他の医療事業の用に供する施設でその目的を達成する上で市街地以外の地域に設置する必要があるもの
イ火薬庫又は、火薬類の製造施設
ウその他、ア又はイに掲げる施設に類する施設
※具体的には悪臭・騒音・排煙等の為市街地の居住性を悪化させるおそれのある施設をいいゴミ焼却場・下水又は糞尿処理場などの施設が該当します。
⑤申請に係る農地を特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当する業の用に供するために行われるもの
〇調査研究
〇土石その他の資源の採取
〇水産動植物の養殖用施設その他これらに類するもの
〇流通業務施設・休憩所・給油所その他これらに類する施設
〇既存の施設の拡張
※拡張に係る部分の敷地の面積が既存の敷地の面積の2分の1を超えないものに限ります。
※「既存の施設の拡張」とは、既存の施設の機能の維持・拡充等のため既存の施設に隣接する土地に施設を整備することをいいます。
〇欠くことのできない通路・橋・鉄道・軌道・索道・電線路・水路その他の施設
⑥申請に係る農地をこれに隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供するために行うものであって、当該事業の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるもの
但し、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積に占める申請に係る第1種農地の割合が3分の1を超えずかつ、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積に占める申請に係る甲種農地の面積の割合が5分の1を超えないものでならなくてはなりません。
⑦申請に係る農地を公益性が高いと認められる事業で次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるもの
ア土地収用法その他の法律によって土地を収用し又は、使用することができる事業
イ森林法第25条第1項各号の森林の造成
ウ地すべり等防止法・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律等によって行われる急傾斜地崩壊防止工事
エ非常災害のための必要な応急措置
オ土地改良法第7条第4項
カ工場立地法第3条第1項に規定する工場立地調査簿に工場適地として記載された土地の区域内で行われる工場又は事業場の設置(注)「土地の区域」は農業上の土地利用との調整が調ったものに限ります。
キ独立行政法人中小企業基盤整備機構の附則第5条第1項第1号に掲げる業務
ク集落整備法第5条第1項に規定する集落地区計画の定められた区域内において行われる集落地区施設及び建築物等の整備
ケ優良田園住宅の建設
コ農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第3条第1項に規定する農用地土壌汚染対策地域として指定された地域内にある農用地
サ農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律第5条第1項に規定する基本計画に定められた同条第3条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の整備
⑧農村地域工業等導入促進法その他の地域の開発又は整備に関する法律で令第8条第1項各号に掲げるものの定めるところに従って行われる場合で、令第8条第2項各号のいずれかにがいとうするものその他、地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合で土地収用法その他の法律によって土地を収用し又は使用することができる事業に掲げる要件に該当するもの
まとめ
以上のように例外規定を掲載しました。
第1種農地は特に未開発な地域での事業を計画する際に農地区分として該当するケースですので詳しく掲載させていただきました。
第1種農地でも上記①~⑧のいずれかに該当するような事業計画であれば転用は許可されますが例外規定も相当緻密に設定されています。
今回詳しく掲載した意図は、上記①~⑧の規定のいずれかに該当する又は、該当するように計画できるかどうかによって計画の実現に寄与できればという思いで掲載しました。
特に事業を計画する上で例外に該当する可能性がある部分についてはカラーリングしております。
当事務所は計画の立案から計画の実現までのサポートを行っております。
是非一度ご相談ください。